Domino Reduction 入門編
寒いですね。寒すぎてFMCしかやる気が起きません。
FMCといえば今年はDomino Reductionが世界中で流行りました。私もその初波に乗っかる形で開拓をし始めました。そのおかげで短い手数が安定して出せるようになり、今では25手を切ることがかなり多くなりました。
そんな超有能解法なのですが、取っ掛かりの難易度が高いため、日本ではあまり知られていません。
てなわけで、日本大会で優勝したことを期にこの記事で紹介しようと思います。
この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2019の2日目の記事になります。
昨日はSakakiさんの「MBLDを毎日やるためのゴースト対策」
でした。MBLDを頑張る人は是非見に行ってみてください。
・諸注意
この記事では()内をインバーススクランブルからの処理として表記しています。また、画像は全て標準配色になっています。
大変申し訳ないのですが、この記事はFMCを勉強した人向けに作っているので、専門用語の解説は省いています。これからFMCを勉強する人はまずこの記事↓
WRCC FMC解説「入門から各テクニックの習得まで」 (ふーみぃさんの記事)
でBlock Buildingを勉強してから読むことを強くお勧めします。
目次
1.Domino Reductionとは?
2.Domino Reductionの流れ
⑴EO
⑵DR-set up
⑶Domino Reduction
⑷insert
3.解答例
4.終わりに
1.Domino Reductionとは?
このような動画を見たことはあるでしょうか?
私たちがよく知る普段の3の解き方ではありません。このようにEO・中段・COが揃った状態から180度回転を多用して揃える解法を“Domino Reduction”と言います。
2.Domino Reductionの流れ
はいではやってみましょう!…と言われても難しいと思うので、順を追って作り方を説明します。
⑴EO
まず最初にEOを揃えます。EOって何?という方は
FMCにおけるEOについて(うえしゅうさんのブログ)
を見て勉強して下さい。
この記事ではU面が白、F面が緑のEOを基準とします。
⑵DR-set up
☝️の動画のように不思議な動きをしてDominoを作るのは人間には不可能なので、ある特定の形にセットアップしてから作っていきます。
・-2e3cケース
①中段のエッジが1つだけ揃っていない&コーナーの向きが3つ揃っていない状態を作ります。(ここで言う中段が「揃っている状態」は
中段であればどこでも良いです)
②R U' R' やR U R' で揃う形にセットアップします。
③R U' R' やR U R' をしてDomino 完成です。(最後のR' はR でもよい)
例1 (Tribox Contest 2019 後半期 第2節)
スクランブル:
R' U' F U2 B' R2 B R2 F2 D2 B' R2 F L2 D' F2 D' L U' R' D' B2 F' D2 R' U' F
Domino までの解答
B R' D2 F //EO (4/4)
U' L' //①
D2 L2 //②
R U R' //DR (7/11)
・-2e4cケース
①先ほどとほとんど同じですが、今度は中段のエッジが1つだけ揃っていない&コーナーの向きが4つ揃っていない状態を作ります。
②R U2 R' で揃う形にセットアップします。
③R U2 R' もしくはL F2 L' でDomino 完成です。
例2 (Tribox Contest 2019 後半期 第1節)
スクランブル:
R' U' F D2 B2 D2 B2 U2 L2 U2 R' B2 R2 U R U2 B D' U L' U2 R' B2 R' U' F
Domino までの解答
F' R U' B' //EO (4/4)
R D' R' //①
(U' D' )//②
(R' D2 R' )//DR (8/12)
・-4e4cケース
①中段のエッジが2つ揃っていない&コーナーの向きが4つ揃っていない状態を作ります。
②RやLで揃う形にセットアップします。
③R やR' 、L 、L' でDomino 完成です。
例3 (Tribox Contest 2019 後半期 第7節)
スクランブル:
R' U' F D B2 L2 B2 R2 D2 U2 R2 D B2 F' R D2 R2 B2 R B' U2 R' F' R' U' F
Domino までの解答
F B //EO (2/2)
L' //①
(F2 D L2 D R2 D )//②
(R )//DR (8/10)
⑶Domino Reduction
ここまではDRの作り方について説明してきましたが、ここからはDRを作った後の「180度の回転を使って完成を目指す」について説明していきます。
・Block Building
222→223…と解いていくお馴染みの方法です。難易度は低いですが、DR後はコーナーの向きが固定されるためインサート時のキャンセルがDRなしのBlock Buildingよりも少なくなってしまうという欠点があります。基本的にインサートなしで完成を狙うかL3C、2e2cを狙いましょう。
・ Corner First
ブロックを残しつつ(時には壊して)コーナーを優先的に解く方法です。難易度は高いですが、エッジのインサート手順は180度回転のものが多いので大幅なキャンセルが狙えます。
⑷insert
Block BuildingやCorner Firstを使ってskeletonができたら最後にインサートをして完成に持っていきましょう。
・コーナーインサート
Commutatorができていれば問題ありません。なんのこっちゃわからない場合はふーみぃさんの神記事を熟読してください。↓
FMC解説 Insert
・エッジインサート
有用な手順をつらつらと載せていきます。
⑴M' U2 M U2 (6)
定番ですね。知ってる人も多いのではないでしょうか。
⑵R2 F2 R2 U2 R2 F2 R2 U2 (8)
実は⑴の3点交換には8手も存在します。
⑴の手順では90度回転が入るため、あまりキャンセルが多くない場合があります。ですがななんとこの⑵の手順は180度のオンパレードなので大幅なキャンセルが発生する可能性があります。
ちなみにこの手順は
F2 をFw2 にしても、U2 をUw2 にしても成り立ちます。上手く使ってより多くのキャンセルを狙いましょう。
⑶R2 Fw2 R2 U R2 Fw2 R2 U (8)
これも3点交換です。⑴や⑵の状態が来ない時などにかなり重要な手順になってきます。
⑵と同様にU をUw にすることが可能です。また、
L2 Fw2 L2 U L2 Fw2 L2 U
も同じ動きをします。
⑷R2 U2 R2 U2 R2 U2 (6)
2e2e交換です。3点よりは探すのに苦労しますが、これもまた莫大なキャンセルを発生させるのでガンガン使っていきましょう。
⑸L2 U2 L2 D2 R2 D2 (6)
⑷と同じ動きの別手順です。これもまた莫大なキャンセルが狙えます。
⑹R2 D R D' R F2 L' U L F2 (10)
パリティ(2e2c)手順です。頭と終わりが180度回転なのでキャンセルが狙えます。J permです。
⑺U F2 U' F2 D R2 B2 U B2 D' R2 (11)
これもパリティ手順です。U /D と180度回転が組み合わさっているのでとんでもないレベルのキャンセルが発生したりします。T permです。
3.解答例
ここまで流れや手順やらを紹介してきましたが、実際にはどんな感じで揃えているのか気になると思うので私が過去にやったTribox Contestの解答を3つほど載せたいと思います。他にも何個かDRを使った解答を出しているので、気になる方はTribox Contestページ「Rami」から探してみてください。
例1 (Tribox Contest 2019 後半期 第5節)
R' U' F L2 B2 D F2 D2 R2 D2 R2 U B2 U' F L B2 R' B U' L2 B2 R2 U R' U' F
(B' D' )//EO (2/2)
(R B )U2 D2 L2 B L2 B' //DR (8/10)
L' D2 R' L' D2 //3sqs (5/15)
B2 U2 F2 //ab5c (3/18)
Skeleton:
U2 D2 ¥L2 B L2 B' L' D2 R' L' D2 B2 U2 B' $F2 R' D B
¥=B' R2 B L2 B' R2 B L2 (8-3/23)
$=R' B R F2 R' B' R F2 (8-4/27)
Solution:
U2 D2 B' R2 B L2 B' R2 B2 L2 B' L' D2 R' L' D2 B2 U2 B' R' B R F2 R' B' D B (27)
例2 (Tribox Contest 2019 後半期 第7節)
R' U' F D B2 L2 B2 R2 D2 U2 R2 D B2 F' R D2 R2 B2 R B' U2 R' F' R' U' F
F B //EO (2/2)
L' (*F2 D L2 D R2 D R )//DR (8/10)
(F2 B2 **U' F2 U2 )//solve corners (5/15)
*=(R2 L2 B2 R2 L2 F2 ) (6-2/19)
**=(B2 U' D L2 U D' ) (6-4/21)
Solution:
F B L' U2 F2 D L2 D' U F2 R' D' R2 D' L2 D' L2 R2 B2 L2 R2 (21)
例3 (Tribox Contest 2019 後半期 第8節)
R' U' F U F2 R2 B2 U2 B2 U' F2 R2 B' R B2 L2 D' L' D' F' R2 U L2 U R' U' F
F U2 D' B //EO (4/4)
(U' B2 L2 R2 D' B2 D' U2 R' )//DR (9/13)
(F2 D')//squares (2/15)
(U R2 U R2 U2 F2 )//l3c (6/21)
Skeleton:
F U2 D' B F2 U2 R2 U' R2 U' D F2 R U2 D B2* D R2 L2 B2 U
*=R' D L' D' R D L D' (8-3/26)
Solution:
F U2 D' B F2 U2 R2 U' R2 U' D F2 R U2 D B2 R' D L' D' R D L' R2 B2 U (26)
4.終わりに
いかがでしたでしょうか。今までのBlock Buildingとは全く違う解法であることがわかったかと思います。今までにない切り口なので慣れるまでは苦労すると思いますが、諦めずに挑戦し続けてみてください。皆さんの記録がより良くなることを願っています。
Let's Domino!
あとがき
大阪大学ルービックキューブサークル“ROCKMEN”のタニシさんに記事内容の確認をしていただきました。忙しい中ありがとうございました。彼も12/13に記事をあげる予定です。是非見に行ってみてください。
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